「反り腰」で片づけないで。その「反り腰」とその「反り腰」じゃ全然違います!
例えば、私たちにとって「虹」という言葉は七色から成る光の像を示し、虹がかかれば七つの色が見えます。しかし、「虹」という言葉が三色から成る光の像を意味する文化で暮らす人々が虹を見れば、三つの色しか見えません。ソシュールの言語論だったか構造主義だったか忘れましたが、まぁ小難しいことはどうでもよいのです。とにかく、「反り腰」という言葉では見えていないものがあるということをお伝えしたいのです。
下の写真のAとB、どちらも腰が反っています。でも、明らかに別の姿勢ですよね。Aは、度々ご紹介しているお腹を突き出した姿勢です。対してBは、お尻を突き出しています。これを出っ尻の姿勢と呼びましょう。
ところで!昨日の山口俊投手のノーヒット・ノーラン!おめでとうございます!(唐突!)史上79人目だそうです。一か月ぶりにスタメン・マスクをかぶった小林捕手の支えもあってこそ。よかったですね!本当に!
巨人の坂本内野手はAの姿勢をしているとこちらの記事でご紹介しました。殿筋とハムストが縮こまり、腸腰筋が伸びきっています。一方、小林捕手はBの姿勢をしています。坂本がAの姿勢をしているのは、単純に彼の立ち方の問題ですが(ディスってないですよ、超応援してます!)、小林がBの姿勢になってしまうのは少し事情が違います。キャッチャーをしていたら仕方ないのです。
キャッチャーのしゃがんだ姿勢では、股関節が極限まで屈曲した状態にあります。このとき、腸腰筋はギューっと縮められた状態にあります。腸腰筋はミゾオチあたりから脚の付け根にかけて付いている筋で、上半身と下半身を繋いでいます。この筋の力が強くなり過ぎたせいでお尻が突き出てしまうのです。バスケなど、グッと屈んでジャンプするようなスポーツをしている人もBのような姿勢になりがちです。
縮んでいる腸腰筋の反対側で、殿筋とハムスト(上部)は目一杯引き伸ばされています。坂本は殿筋やハムストが縮こまっているのでストレッチした方がいいですが、小林がこれらの筋をストレッチしてしまっては逆効果※です。伸ばしたいのは腸腰筋の方です。
しゃがんでいる人を例に出しておいて矛盾しているようですが、実はBの姿勢は立ち仕事をしている人もなりやすい姿勢です。0度の姿勢から重心バランスが崩れた時に、重力に負けて最も簡単に曲がりやすいのは股関節だからです。このブログの中で、座り仕事の人やお腹突出し姿勢の人はハムストを伸ばすようにお伝えしてきましたが、出っ尻の姿勢をしている人はハムスト伸ばさないでくださいね。
奇しくも巨人のイケメン選手2人が異なるタイプの反り腰だなんて。これからも彼らの姿勢に注目しつつ応援します!!頑張れーーー!!
※立ち仕事で出っ尻の姿勢になっている人はハムスト全体が伸びていると考えて問題ないのですが、捕手の場合は股関節の屈曲と同時に膝関節も屈曲しているため、ハムストの下部は伸びているのではなく縮んでいます。従って、小林はハムストの下部はストレッチした方がよいでしょう。ハムストは二つの関節を跨いでいる筋(多関節筋)なので、単純にいかないところがちょっとばかりやっかいです。
ストレッチインストラクター。13年間のデスクワークの後、ストレッチと体幹運動で重い冷え性と生理痛を克服。デスクワーカー向けのストレッチレッスンをしています。
主婦の友社のウェブメディア「OTONASALONE(オトナサローネ)」でヘルスケアライターとしても執筆中。