脚を組む癖が冷え症を加速させる。開脚、どれくらい開きますか?
父にプレゼントしたバランスボール※、初めのうちはテレビを見る時にはちゃんと真面目にバランスボールに乗っていたのに、いつの間にか、バランスボールはオットマンに変貌を遂げていました。
オットマンといっても、足を乗せるのではなく太腿を乗せて使っていました。以前のようにソファにふんぞり返ったまま・・・。
「ちゃんと使わないとダメじゃん」とパパンに注意しましたところ、「太腿には太い血管があるから刺激すると血行にいいんだ」という返答が。
どこで仕入れたんだろう、その情報・・・確かに、太腿には太い血管があります。
※なにかの記事でバランスボールを父にプレゼントしたと書いたのですが、どこで書いたか忘れました。のでリンクが貼れません。ご存知の方がいらっしゃったら教えてください。(自分で探せ)
内転筋管を通る大腿動静脈
太腿には、股関節を動かすための筋肉がさまざまあるのですが、そのなかに、内転筋群という筋群があります。
文字通り、股関節を内転させるための筋肉たちです。股関節の内転とは、こういう↓動きです。
これに限らず、体の外側から内側へ、股関節から脚を動かす動作を股関節の内転と呼びます。
で、この股関節の内転に働く内転筋群のなかの大内転筋のところに内転筋管という管があり、そこを大腿動静脈が通っています。
何度も書いていることですが、筋肉には筋ポンプの作用があります。体を動かすと筋肉の収縮と弛緩が交互に生じることとなり、それがポンプとなって血を運びます。
筋肉は「ほどよく」使われることが大切で、使われ過ぎてもダメ、使われな過ぎてもダメ。血が廻らない。
「ほどよく」ってなんやねん。と思いますが、とても便利なワードで言うならば、「バランス良く」と同義です。陳腐です。
筋肉を収縮させるためのエネルギーを作り出すのに必要な酸素が血液によって供給され、かつその血液は筋肉の収縮と弛緩によって滞りなく送られている。この需給バランスが良い。ほどよく動いている状態。
だから、どれくらい動けば「ほどよい」んですかっていう話なんですけど。これまた「それぞれ」。
ぜひぜひ自分で見つけてみてください。なんだか体の調子が良くなる気がする程度の運動量を。明確に良くならなくても、気がする程度でいいのです。気がした時、本当に「良くなる」魔法にオートマチックにかかるのです。
おい内転筋管はどうした。すみません。
はい、内転筋を通る太い血管も当然、筋ポンプ作用により血が送られます。
脚を組んでいるとき、内転筋群は収縮しっぱなし
脚を組んだときには、股関節が内転しています。内転した状態をキープしています。ということは、この状態をキープするための筋肉たち即ち内転筋群が、ずっと収縮しているということになります。
収縮し続けているということは、筋ポンプが生じません。血行が悪くなっていきます。
しかも、この内転筋を通る血管は太いのです。この血管を血がうまく流れないと与える影響も大きいのです。
そしていつも脚を組み続けていると、内転筋群がどんどんどんどん縮こまって短くなっていきます。ある筋肉が短くなれば、それを短くしている姿勢が楽なので、ますます脚を組みたくなってしまうのです。で、さらに血行が悪くなります。
冷え症の人が最もつらいのは、足先の冷えじゃないかと思います。私もそうでした。たとえお風呂上りでも、足先が温かいことなんてそうそうありませんでした。
脚もよく組んでいました。脚をクロスしていた方が、保温効果があるような気がして、むしろ冷え対策で組んでいたところもあるのですが、逆効果だったみたいです。
脚を組んでいると、血の巡りが悪くなり、むしろ冷えてしまいます。足先の冷えは股関節からつながっているのです。
内転筋群を伸ばして血の巡りをよくする
縮こまって短くなってしまっている内転筋群をストレッチすることで、まずは血行不良を改善しましょう。
脚を内側に閉じることで縮んでしまっているのだから、外側に開けばよいのです。
体を前に倒して「いーち、にー」とかいう感じで反動をつけるのはやめてください。ただ座って伸ばすだけでOKです。
このとき、つま先は、天井を向くようにしておきましょう。
ちなみに、皆さんはどのくらい開きますか?
私?90度くらいしか開きません!(開き直り)
これはまた別の筋(薄筋)が邪魔しているせいなのですが、ややこしくなるので詳しくは割愛します。
でも、私のような人も、これ↓で脚が開くようになれば、とりあえず内転筋群に関しては大丈夫です。内転筋管を通る血の流れも良くなるでしょう。
ただ、別の筋(薄筋)が短くなっているせいで結局また脚を組みたくなります。だから、やっぱり先の開脚もできるようになっておくのがよさそうです。
とはいえ、私の場合、90度しか開脚できなくても冷え症はかなりよくなりました。
実は、片側45度開けば、正常な可動域なのです。なので、人と比べると全然開かなく見えますが、まぁ問題ないレベルです。
皆さんもご自分のペースで、あまり神経質にならずに適当にやってみてください。たいして脚が開かなくても、なんか血が巡った気がすれば、なんか良くなってきた気がすれば、それでいいんです。あとは勝手に良くなります。
さて、父のバランスボール使用法ですが、私の目を気にしてか、最近はまたちゃんとボールに乗ってくれているみたいです。
確かに内転筋を刺激するのはいいかもしれませんが、ソファにふんぞり返っているせいで腰が痛くなっているのに、それをやめなければ意味ないですからねぇ。
父の腰痛はいつ改善するでしょうか。これからも注目していきたいと思います。
ストレッチインストラクター。13年間のデスクワークの後、ストレッチと体幹運動で重い冷え性と生理痛を克服。デスクワーカー向けのストレッチレッスンをしています。
主婦の友社のウェブメディア「OTONASALONE(オトナサローネ)」でヘルスケアライターとしても執筆中。