冷えにも効く腹式呼吸。運動不足の人こそ腹式呼吸を心がけよう。

冷えが生じる大きな要因は、体を動かさないことです。

筋肉は、動かすことで収縮と弛緩を繰り返します。この収縮と弛緩は筋ポンプと呼ばれ、血を巡らせます。血は体中に酸素を運び、エネルギーをつくります。

じっとしてばかりいると、血が巡りません。でも、デスクワークだと動ける時間も機会もどうしても少なくなってしまいますよね。

そんな人こそ、腹式呼吸をしてください。

呼吸も一種の運動である

呼吸は肺が勝手に動いてくれているわけではありません。

筋肉が肺を膨らませたりしぼませたりすることで、呼吸ができているのです。

具体的には、息を吸うときに、横隔膜と外肋間筋(肋骨と肋骨の間にある筋肉)が収縮することで肋骨が広がり、肺が膨らみ、空気が流れ込みます。

息を吐くときには、横隔膜と外肋間筋が弛緩するので、それによって肋骨の広がりが戻り、肺がしぼみ、空気が出ていきます。

横隔膜は下の図のとおり、肋骨の下で文字通り膜のようなドーム型をした筋肉で、収縮すると下に向かって縮みます。弛緩すると、上に上がります。というか、戻ります。

つまり、息を吸うときには横隔膜が下に下がり、吐くときには上がるのです。

しっかり呼吸をしていれば、筋肉は収縮と弛緩を繰り返すので、筋ポンプが生じ、血行が良くなるのです。

血行が良くなるということは、酸素がきちんと循環し、効率よく呼吸ができていることになります。

なお、激しい運動後などの肩で息をするような呼吸時には、もっと多くの筋肉が手伝って、より肋骨を大きく動かします。

吸うときは、胸鎖乳突筋や斜角筋のような頸の辺りにある筋肉が肋骨を上に引き上げて広げようとします。

吐くときは、内肋間筋、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋といった主にお腹まわりの筋肉が収縮することで腹圧を高め、横隔膜を上に押し上げます。これによって、肋骨が広げられます。

呼吸が浅いのは、横隔膜が弛緩できていないから

試しに、浅い呼吸を再現してみてください。不思議なもので、呼吸をたくさんしているのに息苦しくなります。

いわゆる「過呼吸」のような状態になります。「過呼吸」は呼吸し過ぎと書きますが、実際のところは「吸い過ぎ」です。

言い換えれば、ちゃんと吐けていない、ということです。

では、なぜ吐けないのでしょうか。

息を吐くとき、横隔膜は弛緩します。吐けない、ということは横隔膜が弛緩できていないということです。

では、なぜ横隔膜が弛緩できなくなってしまっているのでしょうか。

横隔膜が凝り固まってしまっているからです。

筋肉の凝りは、いつも収縮ばかりさせられることで生じます。

横隔膜が収縮ばかりしている、つまり、吸ってばかりいる、そのせいで横隔膜が凝り固まってしまい、ちゃんと弛緩できなくなっているのです。

吸い過ぎる→吐けない→吸うしかない→もっと吐けなくなる、という悪循環を生んでしまっているわけですが、この負のスパイラルを断ち切るには、意識してちゃんと吐くことが重要です。

お腹の筋肉も使って吐くことを意識して、横隔膜がちゃんと動くように助けてあげましょう。

収縮と弛緩がうまくできていないということは、筋ポンプが働かず血行不良を生んでいることになります。

特に、横隔膜はインナーマッスルです。インナーマッスルには血がたくさんあります。

そこの血行が悪いということは体全体への血の循環に与える影響も大きくなります。

また、吸ってばかりいるせいで凝り固まった横隔膜は、柔軟性を失いますから、当然、弛緩だけでなく収縮もしづらくなります。

そうすると、吐くことができないだけではなく、吸うこともできない。

そこで、先に出てきた、胸鎖乳突筋や斜角筋のような頸のあたりにある筋肉も手伝って肺を膨らませようとします。

胸鎖乳突筋や斜角筋は、本来、常に呼吸をするための筋肉ではありません。たくさん酸素補給をしなければならないときに助けるだけです。

ところが、これが呼吸の度にいつも使われているとなれば、それは使われ過ぎです。コリが生じます。

呼吸の浅い人が首がガチガチなのはこのためです。

ここにも血行不良が生じて、全身の血の巡りはますます悪くなるのです。

息を吐くことの重要性

横隔膜は、不随意筋といって、意識しなくても勝手に動いています。意識してないと息が止まってしまう、というのでは困りますからね。

眠っている間も呼吸が止まらないのは、横隔膜が不随意筋だからです。

そのため、眠っているときはみんな腹式呼吸になっています。(眠っているときすら腹式呼吸にならない人も増えているそうですが。)

ちなみに、内臓や血管の筋、心筋なども不随意筋です。

意識によって動く骨格筋(随意筋)を動かす神経は運動神経ですが、不随意筋を動かす神経は自律神経です。

自律神経はその名のとおり、神経が自分で勝手にコントロールするので、私たちの意識では通常、どうにもなりません。

自分の意思で心臓を止められる人はいませんよね。

しかし、横隔膜は実に不思議な存在で、自律神経下にありながら、自分の意識でも動かすことができるのです。(実際には、横隔膜自体を自分の意思で動かせるのではなく、ほかの筋肉の収縮によって横隔膜も動かされるというほうがよいのでしょう。)

逆に言えば、コントロールできないはずの自律神経に対して、横隔膜を媒介してなら、自分の意識でも働きかけることができるのです。

交感神経が優位になるとき、心臓はバクバクし、呼吸は荒くなります。これは勝手にそうなります。

でも、そんなとき、横隔膜をしっかりゆっくり動かして呼吸をすれば、交感神経を抑えることができるというわけです。

深呼吸で副交感神経を高めよう、とかよく言われるのは、こういうしくみがあるためです。

ところが、前述のように、ちゃんと息を吐けない人は、普段から呼吸が浅いので交感神経が優位になりがちです。

だから、ちゃんと息を吐くことが大切なのです。

では、ここで、深呼吸をしてみてください。

あなたはいま、息を深く吸いましたね?

 

はい、これがメンタリズムです。(???)

呼吸とは、呼→吸と書きます。

鎌倉の建長寺で坐禅を体験したのですが、そのときも、まず吐いて吸うように教えられました。

体の空気を出さなければ、体に空気は入ってこないのです。

出さないうちから、さらに入れようとするから、苦しいのです。

イライラして眠れない夜は、体中の空気を全部吐き出すつもりで一度息を吐いてみてください。

仕事が忙しすぎて、呼吸すら忘れていそうな時も、息を全部吐ききってみてください。

あるいは、プレゼンの発表やクライアントとの交渉の前、緊張しすぎてどうしよう!というときも。

体の中にこんなに空気があったのか!とけっこう驚きます。

酸素がなければ生きられないわけですが、必要以上にありすぎてもよろしくないようです。

強欲な私にしてみれば、あればあるだけいいじゃん、と思ってしまうのですが。

最後に恐らく蛇足ですが、無駄な在庫を持たず徹底管理することが営業利益の向上につながることに似ている気がしました。

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