「一駅前で降りて歩きましょう」がハードル高すぎる件
まず、「東海道線なめてんの?」と問いたい。
東京方面から仕事で帰ってきて、辻堂駅で下車するところを一つ前の藤沢駅で降りたとしましょう。
その距離、3.8キロです。やっと辻堂駅に辿り着いても、そこからさらに自宅まで歩かねばなりません。
休みの日ならそのくらい歩いたほうがいいですが、仕事帰りは正直かったるい。体力より時間がない。
「こんなところにこんなオシャレなカフェがあったのね」なんていう発見があるかも!
とか言われますけども、・・・寄るんですか?カフェに?
地下鉄が張り巡らされた大都会ならともかく、多くの地域の住民にとって、一駅前で下車して歩くことを日常生活に取り入れることは結構ハードルが高い気がします。(その割に雑誌やネットの記事でやたらと推奨されているのを見かけますけど。書いてる人はやってるんですかね。)
ちなみに、私が大手町の職場に勤めていた頃は東京駅から歩いていました。
大手町駅と東京駅は、丸の内線で一駅です。距離にして900m。
(実際は地下通路を歩いて通勤していましたので、冬になると丸の内の街路樹にイルミネーションが灯ることも知りませんでした笑)
毎日、東京・大手町間を往復していましたが、それが何かの運動になっていたとも思えません。
事実、半分眠っていても歩けるような通い慣れた場所を、少々歩いたくらいでは運動のうちに入らないのです。少しも緊張感を伴わない運動は筋肉に効果があまりないのです。
たとえ、大手町から東京駅を通り越して一つ先の銀座駅まで歩くことにしたとしても、ルーティンの歩行距離が少し伸びた程度でたいした変わりはないでしょう。
都内では一駅前での下車も現実味を帯びてくるものの、やったところでたいした効果はないわけです。
誰得なんですかね、一駅前で降りることの提案て。
代謝をあげるために歩くならインナーマッスルをちゃんと使うべし
私が歩くことをオススメする理由は単純に、気軽に筋肉をたくさん使えて血液循環がよくなるから、なのですが、
その先には代謝がよくなるとか、そのおかげで体温が上がって免疫力がつくとか、あるいはダイエットになるとか、そんなこんなで健康になるとかいったオマケもついてくるかもしれません。
でも、健康に思いを馳せて歩くのはいささか壮大過ぎる気がします。
いまどの辺の筋肉を使ってるのかしら、と思って歩くのがいいですよ。どこを動かしている、と感じながら動く方が不思議と筋肉に効くのです。
ところで、代謝を上げるには歩くといい、というのはよく言われていることです。
歩くといい、というのは、有酸素運動をするといい、ということです。
有酸素運動をする、というのは、赤筋を使うということです。
赤筋を使う、というのは、インナーマッスルを使うということです。
インナーマッスルを使う、というのは、体幹が鍛えられるということです。
どれも似たようなことなのに、有酸素運動というとジョギングをイメージして、体幹運動というと太極拳をイメージ(私だけ?)するのは何故なんでしょうね。
(赤筋と白筋についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています)
インナーマッスルが鍛えられるのは、ゆっくりした動き
ダッシュするときは白筋(=速筋)を使いますが、ゆっくり歩くときは赤筋(=遅筋)を使います。
動きがゆっくりであるほど赤筋、つまりインナーマッスルが使われます。
よく、ウォーキングは早歩きがいい、と言われますが、赤筋を使う有酸素運動を効果的にするのであれば、むしろ動きは遅いほどいいのです。
インナーマッスルを鍛えるには「低負荷・高回数」が鉄則です。このため、早歩きがいいと言われるのかもしれません(それでも解せませんけど)。
しかし、それこそ太極拳くらいのスピードでゆーーーーっくり歩くと、重心移動しつつ片脚立ちでグラグラしながら姿勢を維持することになり、筋肉にはまさに低負荷・高回数の動きが生じているのです。
そういうわけで、皆さま、わざわざ一駅前で降りるのではなく、
いつもの駅で降りていつもの3倍くらい遅いスピードで、歩いて帰ってみてはいかがでしょう?
いやになったらいつものスピードに戻せばいいのですから、ノーリスクです。
ちなみに私は、変な人だと思われるかもしれないので、犬↓の散歩のときしかやりません。
結局ハードルが高い件。
ストレッチインストラクター。13年間のデスクワークの後、ストレッチと体幹運動で重い冷え性と生理痛を克服。デスクワーカー向けのストレッチレッスンをしています。
主婦の友社のウェブメディア「OTONASALONE(オトナサローネ)」でヘルスケアライターとしても執筆中。